皆が楽しそうに話し合っている。
でも、僕は参加させてもらえない。
****
話は少し前に戻る。
簡単に言えば、皆で旅行しようって話。
具体的に言えば、敬老の日に博士に飛行機のチケットを渡して驚かそうって話。
それは博士へのちょっとした感謝の気持ち。
たまたま9人全員で集まった時ひらめいた、ささやかな計画である。
もちろん、博士への感謝なら全員で旅行の必要はないだろう、という意見もあったけど敬老の日って言うのは「家族」との絆を大切にする日なのだから、と僕が反対した。
「一人で旅行するのも、友人と旅行するのも楽しいだろうけど、『家族』で旅行するのもとっても楽しいと思うんだ。」
ここで断言出来ないのは…どうしようもない。
やっぱり想像で意見するのは苦しかったかなあ?もう少し納得出来そうな理由考えないと、と思ってこの後の言葉がつなげないでいると、フランソワーズも同意してくれた。
少し悲しそうな顔で僕に微笑む。
…ごめん、ありがとう。でも多分、口ごもった訳を勘違いしてると思う。
僕は悲しくなんかないよ?フランソワーズ。だって今、とても幸せなんだもの。
あとでちゃんと誤解を解いておこう。
よく考えてみると皆だってまともに家族旅行をしたこと無いようだ。
結局、旅行は10人で、ということで合意した。
問題はそのあと。
何処へ行くか、ということだ。
世界を飛び回っているわりに観光旅行はした事がない。
ようするに、何処へ行っても良いってことになるのだけど…。
だからこそ、意見が分かれる。特に、自分の国に博士を連れて行きたい、という意見が多い。
やっぱり見てもらいたいんだよね、ミッションじゃない、平和な時に、自分の国を。
そんな事をぼーっと考えていると、急にアルベルトが振り向いた。
僕の意見を聞きたいらしい。
「僕?北極がいい。」
言ったとたん、皆かなりビビっていた。いっせいに目が僕に集中する。
その様子にこちらもビビリながらも、続けてみた。
「だって白クマがいるじゃないか。」
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それ以降、僕の意見を求める人が誰もいない。
やっぱりカンガルーにするべきだった…。
fin.
敬老の日ってあんた…。これupしたの(N.B.G.に投稿したのも)3月だっちゅーの。
それにしても私の書くジョーさんの頭のネジがだんだんゆるく…。
今回はジョーさん視点で皆のセリフがありません。
結構書いてて楽しかったです。
実はお気に入りの作品。
なんというか、私のジョーさんに対する見方がよく現れているので。
…や、頭がゆるいってことじゃなくて…。
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2003.3.19 © end-u 愛羅武勇